「もう一つの顔」は原題は、「Man with the twisted lip」で、第一短編集「冒険」の第6番目の作品である。これも原作に当たってきたものとしては、一瞬何の話かわからない。延原訳では「唇のねじれた男」となっているからである。
結果として、果たしてこれが刑事事件であるのかよく分からない話であるが、途中までは、重大事件の様相を呈している。しかも、人の蒸発事件というトリックの原点とも言えるもので、興味深い。
「六つのナポレオン」は、原題は、「Six Napoleons」でこれは、ホームズ物の定番としてよく知られたものである。第三短編集「帰還」の8番目の事件で、通算31作である。ナポレオンの銅像を壊していく犯人の目的は何かという謎解きであるが、これは、ビクトリア時代のフランスとイギリスの関係が説明されていないと、奥行きが薄くなる。
そういう欠点があるためか、このテレビ版は、原作よりも、より感動的な結末を用意しているが、それは見てのお楽しみとしましょう。